・インデラ・カレーにまつわる話・
カレーライスと印度料理の名人になろう
おいしいものを介して交流を
インデラ・カレーの50年

カレーライスと印度料理の名人になろう

ナイル・レストラン G.M.ナイル

銀座「ナイル・レストラン」にて

 あなたは、カレーライスに小麦粉を使っていませんか?
 これだけカレーライスがポピュラーな料理になっているのに、おいしい作り方を知っている人は案外少ない。
 こんなに変化を楽しめる料理はないのに、いつも画一的なカレーライスばかりしか作れない人が多い。残念なことです。
 そこで今回は、これはうまいといわれるカレーライスの作り方をお教えしましょう。
 指導は、インド料理の店“ナイル・レストラン”のG.M.ナイルです。


良質の脂肪を使うこと

 まず最初に、おいしいカレーライスを作るための、重要なポイントをあげておきましょう。

 1 良質のカレー粉。
 インドでは、さまざまな香辛料(胡椒、唐辛子、シンナモン、ナツメグ、メース、クローブ、コリアンダー、ディル、フェンネル、カルダモンなど、20〜30種)を組み合わせて、各家庭で主婦が自分で作るのですが、これは日本では無理。市販のものの中から選ぶしかありません。

 良いカレー粉の条件は
  (a) 料理してからも、さらに翌日も、優れた香りと味が持続できること。
  (b) 調理の仕方次第で、カレーの香味を損なわずに、自由に辛味を加減できること
 などです。

 2 カレーに合った油脂。
 純粋な純植物性油脂で作られた“ギー”が最適ですが、手に入らない人はサラダ油などの植物油をお使いになるのがいいでしょう。ラードやヘッドは避けてください。カレーの味を台無しにしてしまいます。


水分のない脂肪“ギー”について

 「ギー」は精製された水分のない純植物性食用油脂で、古くから東南アジア、特にインドでは「ワナスパティ・ギー」という名称で健康の油として非常に広くいろいろな料理に用いられてきました。カレー料理、及びその他の料理や揚げもの、または菓子やテーブル用に素晴しい味を出します。
 このナイル「ギー」は純植物性食用油脂で他の脂肪分は全く含んでおりません。

3 ベースは玉ねぎで。
 とろりとした舌ざわりは,玉ねぎが作り出します。小麦粉を使ってねばりを出そうなどとは、決して考えないで下さい。味をまずくするだけです。

4 具は肉だけにこだわらない。
 赤、白身の魚、えび、いか、貝など、さまざまな味を楽しんで下さい。 カレーライスだけで、無限な料理のレパートリーをひろげることができるのです。肉(牛、豚、羊、鶏)だけにこだわる必要は、さらにありません。 カレーとは、南インド語でひろく“おかず”の意味。どんな肉・野菜にも合うものです。

 かなり料理に詳しい人でもインドではカレーという木があり、その実を粉にしたものがカレー粉であると考えているようですが、前にも云ったようにカレーとは、日本流にいえば「おかず」というような意味です。 カレー粉は数十種類の香辛料の混合物ですが、その香辛料はすべて薬品の原料としても用いられています。ですからカレー粉を摂取する事は健康の保持、スタミナの増進に役立ちます。
 インデラカレー粉はカレーライスを作るのに用いられるばかりではなく、もっといろいろな利用法があります。
 インドでは毎日三食違ったカレー料理を作っているのですから、カレーといっても千差万別いろいろな調理法があります。
 以上ポイント。勘違いしていた点はありませんか。さて、それでは実際に、カレーライスを作ってみましょう。 具は、もっとも一般的な肉と野菜。材料は5人分です。


肉のカレー

材 料
鶏ガラ 1羽分
じゃがいも(中)6個
にんじん(中)1本
玉ねぎ(中)7〜8個
牛肉(或は好みの肉)500g
ギー大匙 3〜4杯
塩大匙 1杯
インデラカレー粉 大匙2杯

 作り方を、順を追って説明しましょう。
 肉は最初に2cm角ぐらいに切って、大匙1杯分のインデラカレー粉をまんべんなくまぶして、冷蔵庫に入れておいてください。 1時間以上たつと、肉の臭味が抜け、カレーの風味がしみ込んで、身がよくひきしまるからです。
 なお、肉はなるべく脂肪分の少ないものを選ぶこと。

 つぎにスープを作ります。鶏ガラ1羽分に、たっぷり水を注ぎ、3個のじゃがいもを2分の1に切って入れ、強火で20分位煮つめてください。じゃがいもがくずれるような状態になれば、OKです。
 このスープは,あとで上ずみと鶏ガラを捨てて使います。

 3個のじゃがいもを4つ切り、にんじん1本を乱切り、玉ねぎ5個をできるだけ細かいみじん切りにしておきます。

 厚手の鍋にギー大匙3〜4杯を入れ、強火で熱し、薄煙が立ったところで、みじん切りにした玉ねぎを入れ、強火でよく炒めてください。 玉ねぎがキツネ色に変わって透きとおってきたら、スープをカップ2〜3杯入れ、とろ火で炒めます。玉ねぎの硬さが歯でかんでみて、シャキッとしているようだと、まだ炒め方が足りません。 30〜40分炒めれば十分でしょう。この玉ねぎがベースになるのです。小麦粉は量だけふえても、カレー本来の味を殺してしまいますから、お使いにならない方がいいでしょう。 また、炒めた玉ねぎを少量、別にしてとっておいてください。 あとで味を調節するときに役立ちます。(ギーの代わりにサラダ油を使う場合は、約カップ2/3、バターを使う場合は大匙4〜5杯。)

 玉ねぎが炒り上がったら、にんじん、じゃがいも、冷蔵庫に仕舞っておいた肉の順に入れて、これにスープをまた注ぎます。スープの中のじゃがいもは、細かくくだけているはずです。 スープの量は、4〜5カップくらい。(余ったスープは、大切にとっておいてください。煮つまったカレーを薄めるときに役立ちます)
 さて、ここではじめて、インデラカレー粉を加えます。インデラカレー粉の量は、大匙1杯。くどいようですが、良いカレー粉を使うこと。あとは、じゃがいもやにんじんが柔らかくなるまで煮込んでください。


辛味の調節はレモンで

 最後の塩加減です。煮上がったところで、大匙4分の3の塩を入れます。あとの4分の1は、味の調節用です。 塩を最後に入れるのは、途中で入れては具がかたくなるからです。塩を入れたら、しばらくして火をとめてください。 これで、でき上がりです。しかし、味加減がどうも思わしくないということがあるものです。そんなときには、つぎの要領で味の調節をしてください。

 塩味・辛味が強すぎる場合、ともに同じ方法。レモンをしぼって入れてみるのが、第一の方法です。 また、余ったスープを加える方法もあります。(この場合、冷たいスープで暖かいカレーを薄めないこと。冷たいものに加えるには冷たいもので、また熱いものに加えるには熱いもので、“熱には熱”を、“冷には冷を”が、料理の基本です。) さらに残しておいた玉ねぎを、ほとんどとろけるまでに炒めて加えると、玉ねぎの甘味が塩味・辛味をおさえてくれます。 このように味を調節した場合、他のものとのバランスをくずさなかったかを確かめて、調和をとっておくことも必要。 適当にインデラカレー粉を添加したり、形の残ったじゃがいもを細かくくずしたりして、バランスを保っておくことです。 これでおいしいカレーができ上がりました。
 しかし、あわてて食べてはいけません。もう少しお待ちください。カレーは2〜3時間寝かせてから食べるのがおいしいのです。 ですから、夕食をカレーライスlこしようと思ったら、昼作っておくのがいいわけです。 いったん寝かせておいたカレーを温めなおして食べる。これがカレーライスの最高の味なのです。 水を少なめにして炊いた御飯に、たっぷりとかけて、よくかきまぜて食べてください。いかがですか、お味は? あなたはきっと、カレーライスに関しては、自信がついたのではないかと思います。
 簡単です。これがカレーライスの基本形なのです。あとは具を中心とするバリエーションに過ぎません。
 さて最後に、カレーの保存法を。
 翌日のカレーはうまいもの。夜寝る前に煮立てて、蒸気を切っておくことです。これで冷蔵庫に入れる必要はなくなります。 香辛料が防腐剤と同じような役割を果たすからです。
 翌晩までもたせようと思ったら、翌日の昼、もう一度火を通すほうが無難です。
 長く時間をおいたカレーは、味を加減するやり方で、味を整えてから食べてください。

油に代えて、「ギー」をお使いになればよりおいしくいただけます。